エントリーしたドル
ありふれた初心者用の外国為替証拠金取引の情報では「差損が生じたケースではナンピン買いすることで全体の価格を小さくする事が出来る」等と書かれていると思いますが、それは目に見えない隠れたリスクが待っています。
はじめに、ナンピン買いのロジックについて手短に説明します。
たとえば、1ドル100円でドルを買ったとする。
ドル買いということでドル高に動くほど黒字が出ますが、反対に1ドル＝95円まで円高方向に進んだとします。
このままの場合ポジションを持ち続けたら、プラスになるためには損した分、円安に動かなければなりません。
投資家であれば、損は早急に取り戻したい考えます。
ここではじめに買ったのと同じ額のドルを、１ドルを95円で売買します。
それで、全体の価格は1ドル＝97.50銭まで低くすることができる。
要するに、2円50銭の幅で円安ドル高に推移すれば、マイナスを失くすことが出来ます。
この流れがナンピン買いのロジックだ。
このように、ナンピン買いの理屈を理解すると「納得だ」という気分になるが、外国為替市場はそう簡単には問屋を卸してくれない。
もとより、95円が底だということなどなんびともわからないのである。
もしも、為替が相当の円高地合だとすれば、95円では下げ止まることなくより一層円高が加速する危険性が高いです。
1ドル＝97.50円でナンピン買いをしたにもかかわらず1ドル95円まで円高ドル安に向ったらナンピンしたポジションについてもマイナスが生まれます。
この状態では、一番初めにエントリーしたドルと合計で、２倍の差損が生まれる事になります。
それゆえ、ナンピンは難しいのだ。
では、為替が己の物語とは反対の方向にどんどん進む場合どんな術で危険の確率を避ければいいのでしょうか。
この場面では選択できる手段は２つだけあります。
まずひとつは覚悟を決めてポジションを閉じる事です。
もうひとつの方法としてはその時に、自分か保持しているポジションを縮小することで、相場が元のようになるのをじっと待ち望む事だけです。
ずいぶん受動的な手法だと思う投資家もいるだろう。
けれども、持っている買いポジションに差損が出た場合一番妥当な手段はこれよりいいものは考えられません。
無論、理論上は、ナンピン買いをする手法もありえます。
けれどもナンピンは損失を披っている場面にもかかわらず、ポジションを減らすどころか買いポジションを積み重ねていく対策です。
この手法では、危険をコントロールすることなど、どうやっても不可能だと思ったほうかいいだろう。
ナンピン買いを続ける事ができればいつの日にか勝てるかもしれない。
しかし、それより先に資金は無くなってしまいます。